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学校法人会計の特徴(企業会計との違い)

学校法人は、教育研究活動を目的とした非営利法人であり、このきわめて公益性の高い教育研究活動を円滑に遂行するために、学校法人には財政の安定と永続性が求められています。学校法人は、教育研究活動を永続的に行う為に資金の確保を必要とします。
これに対し、一般企業は利益獲得のための経済活動を行います。そのため、企業会計では収益と費用の把握と損益計算により、企業の財政状態を明らかにし、収益性と安全性の確保を目的としています。
学校法人会計は、事業目的の違いから企業会計における損益より資金に着目した会計であり、収支の均衡状況と財務状態を明らかにし、健全な経営を継続的かつ安定的に遂行することを目的としています。
学校法人会計と企業会計の違いをまとめたものが下表となります。

  学校法人会計 企業会計
事業目的 私立学校の運営による教育研究活動 利益獲得と分配による経済活動
会計基準 学校法人会計基準 企業会計原則
作成書類 資金収支計算書
活動区分資金収支計算書
キャッシュフロー計算書
事業活動収支計算書 損益計算書
貸借対照表 貸借対照表

1.資金収支計算書とキャッシュフロー計算書の違い

学校法人会計における資金収支計算書は、企業会計におけるキャッシュフロー計算書と同様に資金の動きを示す計算書となります。学校法人会計における資金収支計算書では、損益に関わらない前受金などの資金収入、固定資産取得時の資金支出など、「資金の増減に関わるすべての資金の収入と支出」を表示することが特徴となります。また、活動区分別に分けて資金の収入と支出を示す活動区分資金収支計算書の作成も行います。

2.事業活動収支計算書と損益計算書の違い

学校法人会計における事業活動収支計算書は、当年度の事業活動収入および事業活動支出の内容と収支の均衡状況を示す計算書となります。学校法人会計における事業活動収支計算書では、企業会計と異なり「基本金組入額」という収入を控除する科目を表示することが特徴となります。「基本金組入前当年度収支差額」が企業会計における最終損益に相当するものとなります。

3.貸借対照表の違い

学校法人会計と企業会計における貸借対照表は、構造はほぼ同じといえますが、「基本金」と「資本金」という異なる科目を純資産の部に表示する違いがあります。学校法人会計においては、学校法人がその諸活動の計画に基づき必要な資産を継続的に保持する為に維持すべきものとして、それに見合う金額を「基本金」として表示します。企業会計においては、出資者の出資相当額を拘束財産と定義し「資本金」として表示しますが、事業目的が異なる点からも明らかですが、両者は全く異なる定義による表示科目といえます。学校法人会計における「基本金」は、財政の安定と永続性が求められる学校法人の特徴的な科目として表示するものとなります。

【本書作成部署】
学校法人 菅原学園
至誠館大学 経理課